Pages

11/30/2010

I'm home!

 わたしは去年の避妊手術の後、けっこう元気で驚かれたBetty。わたしの弟はもっとすごい。

 ついにDennyが帰ってきた。病院では先に支払いをすませ、先生に薬の与え方など注意事項を伺って、いよいよパパとママにご対面となった。ラブよりもおとなしめの英ゴルならば、一泊の入院で身も心も弱っているかと思いきや、・・・飛びました。

 垂直にびょんびょんと飛びました。しかも表情は巨大エリザベスカラーで全く見えません。

 リードはパパが持っているんだけれど、興奮状態のDennyは全身でママに向かっていく。抱きしめて欲しいんだろうけれど、飛びはねながらじゃそれは無理。何度もエリザベスカラーで診察室の壁にママを叩きつけたんだって。

早くも変形して首に食い込んでいた。
なんとか直したからよかったけれど、
どう考えても暴れすぎ。

 出口までの通り道にいた白い柴のお兄さんや、なぜかはしゃいでいた人間の赤ちゃんを先生が避難させてくださって、退院の花道が作られた。そしておろおろするパパを引きずりつつ、Dennyはママのお尻や背中ををエリザベスカラーで突き飛ばしながら、びょんびょんと駐車場まで進んでいった。待合室の人たちは相当笑っていただろうね。

 ものすごい混乱の中で、ママが思いついたのはピアスをはずすこと。エリザベスカラーで耳がちぎれたら大変!ってそんなことしか考えられない大型犬3頭目のママはどうなのよ。

 車の後部座席でDennyはやっとママに抱きしめてもらえた。さっきの興奮がうそのようにおとなしい。怖かったんだね。あらゆる感情表現がとにかく飛びはねることって、やっぱりおかしなDenny。ここまででパパもママも消耗しきった感じ。

ママが謝罪しているんじゃなくて
夕ごはんを食べさせている。
ボウルを巨大エリザベスの中に差し込んでいる。

 さて、玄関で物音したので、Dennyはずるをしてパパとママとどこかに遊びにいっていたのでは!とわたしは抗議のためかけつけた。ああ、なんて不気味な姿!ぎょっとなってしまって、あえてじろじろ見ないことにした。見ないふりをしていれば元の姿にもどるかも。

もう電池切れ。
お薬も飲んでいるから眠いはず。

 氷をガリガリ食べて、水をガブガブ飲んで、夕ごはんもママのおひざでガツガツ食べて、ボール遊びをしない?ってみんなを誘ったら却下されたDenny。すると電池が切れたみたいに寝てしまった。

 さすがのわたしだって、退院直後はクレートで寝て過ごしたんだから。Denny、ちょっとはしゃぎすぎ。Cookieはショックでごはんも食べなかったらしいよ。

 来週の抜糸予定日まで、厳しい毎日が続くのかも。え?わたしを疑っている?大丈夫、空気は読めるから。・・・たぶん。







11/29/2010

Laparotomy

 わたしは、とばっちりを受けやすいBetty。今日Dennyは朝ごはん抜きで病院に行かなくてはいけなかった。

 実は、ママはこの時を恐れていたんだ。わたしの朝ごはんをどのタイミングで与えるか、これが難しい。いつも一緒に同じことをしたいわたしたち。話してわかる相手じゃない。

 いつもは散歩の後、7時過ぎにごはんを食べるんだけれど、いつまでたっても散歩にもいかないし、ごはんも出てこない。朝ごはんを食べている人間のそばできちんと座っていれば、ほんの少しパンの耳やりんごをもらえるはずなのに、今朝は妙にガードが固い。

 あの、手術するのはDennyで、わたしはもう終わっていますけれど。氷じゃお腹にたまりませんけど。

 Dennyはなんだかのんびりしているけれど、わたしはこういういい加減なのってきらい。朝ごはんは家庭犬の当然の権利でしょ。食べたいものは食べたいの!だんだんむかむかしてきて、バトルがヒートアップしてしまった。

怪我をする前に捕獲された。
ケージの中では神妙な2匹。

 私の憤りが炸裂して、Dennyに激しくぶつけられた。あいつもこれが最後の男子の意地を見せて、雄雄しく応戦した。結局、余計な流血はいらないので、ケージ送りとなって時間をつぶした。

 やがて病院に行く時間が来て、一足先にママがDennyを外に連れ出した。この隙に、パパが朝ごはんを食べさせてくれたの。もちろん十数秒で終了。これよ、これ!わたしが満足して前足をなめているうちに、パパも病院に向かった

 1時間後、ママが帰ってきた。Dennyは診察室に入る時、あの大きな体で座り込んで断固拒否。まるで白いモップ状態で、待合室のみなさんに笑われたらしい。ママと副院長先生とお尻を押してやっと入室したんだって。

 なんだか落ち着かないので、長い散歩に出た。Dennyがいないとわたしは寝てばかりなので、運動量は3分の1以下かも。
 時々不安な気分になって暴れたくなる。ロープを持ってママを誘うけれど、人間相手じゃあまり面白くない。

 約束の4時にママは電話で様子を聞いた。結局、行方不明のひとつはお腹の中にあったので、開腹手術となったそうだ。今は麻酔からさめて、電話をしている先生の方をぼーっと見ているって。今晩はやっぱり病院でお泊り。明日お迎えにいくって。
 
 わたしもさびしいけれど、Dennyはもっとつらいだろうね。離れ離れの夜は初めて。

 おやすみ。ぐっすり寝てどんどん傷を癒して。


11/28/2010

Christmas Preparation

 ぼくは明日手術を受けるDenny。具体的に何があるのかわからないけれど、ぼくには一大事らしい。

 当分行けなくなるからって、早朝ドッグランでいっぱい遊んで朝露でどろどろになって、Bettyとまとめてシャンプーしてもらった。シャンプーはママ、タオルドライはパパ。ドライヤーはAoao。手分けしてやらないと、せっかくの日曜日がつぶれてしまう。
 ぼくは最近抜け毛が多くなってきたものの、やわらかくてふわふわの毛は人間の美容室用ドライヤーならすぐ乾く。

洗ったばかりなのに
がぶがぶ噛み合うから
ママに注意された。

 シャンプー疲れでお昼寝中のぼくたちを残して、パパとママはデパートへ。11月最後の週末は恒例のクリスマスシーズンの買い物だ。この時期は老舗のデパートが一番楽しいんだって。新宿と銀座をはしごするってやりすぎだと思うけれど。

 玄関用に暖かい色のリース
 
毎年ひとつずつ買うビレロイ&ボッホ
 
来年はママが年女。
今年のとらも不思議だったけれど
やっぱり不思議なヘレンドのうさぎ。
白と黒(グレイだけれど)の
ロイヤルコペンハーゲンのうさぎ。
ぼくたちみたいに仲良しだね。

 ママは、陶器の小物ってほこりまみれになっても洗えるから、好きなんだよね。劣化しないのがいいんだって。実はあまり夢のない人かも。

 クリスマスといえば、毎年12月はセンター道路に面する北側のベランダに、少しだけイルミネーションをつける。上の階の方が大きくて立派なイルミネーションを飾ってくれるので、その下にほんの少し色をつけましたって感じで。

 11月最後の週末は、冷たい風の吹く中その準備をするのも恒例だったけれど、今年はCookieの喪中だからイルミネーションはしないんだ。
 毎年自分の家のイルミネーションを観ながら、Cookieと夜の散歩をしていたのを思い出しちゃうんだね。去年Cookieは暖かそうなコートを着てゆっくりゆっくり散歩したんだって。
 おそろいで色違いのコートを着せられたBettyは、正直言って暑苦しくてかなり迷惑だったらしい。人間のセンチメンタルな行動には、ぼくたち犬族はいつも苦労する。

 ともかくCookie、明日の手術の時ぼくを守ってください。クリスマスモチーフの首輪で病院に行きますから、空の上から間違えないでね。頭のでっかい白いゴールデンですよ。

11/26/2010

Embarrassment

 わたしは人前では、よいこのふりがちゃんとできるBetty。本当は挙動不審な気弱な犬を見ると、ついついすごんじゃう。そばにわたしの仲間の犬がいようものなら、勇気凛々、強気で攻めていく。
 ママは早めにおやつで気をそらすけれど、間に合わないと、弱いものいじめの本性がばれちゃう。まあ、犬なんてそんなものでしょ。

 犬が多いこの町では、散歩の時間によってはつぎつぎと仲良しに会う。きのうもM・ダックスAnny & 英ゴルJudy姉妹、ご存知ずっちゃんファミリーのくま&かめ(実妹Cameron)姉妹、キャバリアのリリンとうちのエントランス前で出会った。

ちょっと前まで、遊びに誘う時、
肩に手をかけていたんだけれど・・・

 わたしは、お行儀の悪い犬とその飼い主について、ママがえらそうに講釈をたれているのを、うんざりしながら聞いていた。やがて、せっかくCameronに会えたから、Dennyを連れて来ようという話になった。やれやれ選手交代。ママの長話につきあうのも大変よ、まったく。
最近は上から「どすっ」と
つぶしにかかる。
マウントはしない。こわいから。
 
 Aoaoが家にいたのでわたしを預け、大急ぎでDennyを連れて下りたママ。エントランスの自動扉を抜けたとたん、たくさんの仲間に会えるなんて、Dennyは幸せな犬なんだから。

 そこにはお隣のゴルのアポロ&黒ラブのルカの飼い主さんもいた。Dennyはこのお隣の優雅な奥様に会った時だけ、通称「ウレション」をしちゃう。
わたしはDennyの体の下をくぐって
猛烈に反撃をする。

 Dennyは大喜びでびょんびょん飛び跳ねながら、みなさんにあいさつしているうちに、「ウレション」がいつのまにか本物に変化してきてしまった。やいやい、ここは天下の往来だ。曲がりなりにも町内会長の犬だろってパパが泣くよ。

 Dennyは無理やり引きずられて植え込みの陰に。「じょー」ってよく出るよね。さっき家でもしたはずなのに。
 「もうすぐ雨が降るから、どうか許してください」って、ママ、えらそうによその犬のお行儀なんが論じている場合じゃないよ。
これ、枕じゃないんだって。

 お気楽Dennyと頼りない飼い主を心配してか、Mrs.ずが去勢手術後に使うように、浮き輪の形のカラーを持ってきてくれた。エリザベスカラーよりも使いやすそう。愛情いっぱいのお心遣い、ありがとうございます。

 わざわざ家までお持ちいただいたのに、Dennyがまたびょんびょん跳ねてお騒がせしました。わたしもドアをこじ開けて出ていって、「うりゃうりゃ、何者じゃあ!」ってすごんで申し訳ありませんでした。


11/24/2010

Disaster Prevention Drill

 ぼくは町内会で盛り上がっているパパが面白いDenny。

 昨日は町内会の防災訓練と懇親会だった。毎年この季節はそれぞれの棟ごとに防災訓練が開かれるので、休日になるとこの町に訓練のためサイレンが鳴り響く。消防署のご指導の下、住民総出で避難や消火方法を訓練するんだ。

これはね、消火器の泡じゃないよ。
弾力があって光を集める。

  いつもはごあいさつするぐらいのご町内のみなさんだけれど、緊急時には力を合わせなくてはならない。そんな日が来ないといいのだけれど、こればっかりはね。


 訓練開始の館内放送が流れた時、同じフロアの犬たちが一斉に吠え出した。11階は7世帯。内5世帯になんと7匹も犬がいる。ダックス2匹にMIX1匹、ゴルもラブも2匹ずつ。全部のフロアでは何頭になるのか。もしもの時はぼくたちペットはどうなるんだろう。

 できればペット救護班も作ってほしいな。ママが言うには、一緒にいればなんとしてでも助けるけれど、留守中に何かあったらと思うと、本当に恐ろしいって。


食べても毒じゃないんだって。
ベタベタもしないから
家の中で遊んでみました。

 その後は恒例の懇親会。食事をするだけでなく、住民のネットワークを活かしていろいろと楽しい企画がされる。去年はマグロの解体ショー。今年はなんと「シャボン玉ショー」。ギネスブック入りのパフォーマー杉山兄弟が来てくれた。あのクラブハウスのホールじゃもったいないショーかも。子どもだけじゃなく、立派な大人のみなさんもわくわくして楽しんでいたそうだ。人間はみんなシャボン玉が好きなんだね。

 ショーで使ったシャボン玉水の残りを
片づけをしていた人に分けてくれた!
大喜びでお持ち帰りしたママ。
このシャボン玉水のレシピのコピーは
全家庭に配布されたよ。

Bettyはちょっと引き気味。
2歳ともなると慎重ですな。

 くじ引き町内会長のパパは、日ごろ大変だ大変だといいながら、役員のみなさんと楽しそうだ。

 AoaoのPTAは幼稚園以来ママが引き受けてきた。高校でも委員を続けている。ドッグランのあれこれもママだ。
 だから町内会にはいっさい手を出さないで、パパにすっかり任せたんだ。今日もお弁当を配ったくらい。そのぐらいじゃないとパパは逃げちゃうから。

 確かに仕事もあるから忙しい時もあるけれど、やってみるとそう悪いものじゃないでしょ、パパ。田舎育ちのママは、ご近所とのつながりのないおじさんは格好悪いと思うので、この様子にご満悦。作戦成功!

こりゃこりゃこりゃ。
だんだん、面白くなってきた8ヶ月のぼく。

 これで町内会の大きなイベントは終了だ。パパは開放感いっぱいで、シャボン玉でぼくたちと遊んでくれた。ぼくもつい開放的な気分になって・・・盛大にもらしちゃいました。


 すると、体からは想像できないほどすばやく飛びのいて、「ママ~」と叫ぶだけのパパ。
 体からは想像できないほどの馬鹿力ですばやくぼくを抱きかかえて、トイレに押し込んだのはママ。パパにすっかり任せるのは難しいですね、ママ。

11/19/2010

Over the Rainbow

 わたしも昨日の虹を見ることができたBetty。


 少々不安定な空模様のせいかにわか雨が降ってきて、わたしたちの町の上に晩秋の虹がかかった。ぼんやりしたやさしい色合い。
 あの向こうにCookieたちがいるってよく言われるけれど、わたしにはよくわからない。地上を離れて元気いっぱいになったみんなが、どしどしと走り回るには少し強度が足りないような。

ここをゆっくり渡っていくのかも
名残惜しいもの、急ぎたくはないよね。

 さて、すっかり風が冷たくなったから、Dennyのトレーニングをさぼっているわけにはいかない。大型犬が好きなくせに、スポーツもアウトドアもパスしたい、要するに汗をかくのが嫌いなママ。暑いと何もする気にならない。これはDennyと気が合っているね。でもこのくらいの気温になると、俄然やる気が出て来るんですな。

 2年前、ゴールデンのメイと一緒にわたしはパピークラスを受けた。Cookieの経験で多少わかっているつもりでも、自己流には限界があったことがママにはよくわかったみたい。ごほうびをあげるタイミングや手の位置がまるで違っていたもの。

2年前、パピークラス終了後の2匹。
同級生がいるとトレーニングも楽しい。

 でも終わってしまえば、体重の軽いわたしをコントロールするのは楽なので、だんだんいい加減な散歩になっていたみたい。大柄なパパなんか、Cookieのときも真剣になったことがない。

 Dennyにそれは通じない。あいつはすごい力がある。もっとも、その力の使い方がラブに比べるとかなり甘いから、人間たちは油断しちゃうんだね。最近パパは引っ張られながら、ついつい歩いたりする。それってDennyの筋トレしてるってわかっているかな?

 そこで朝、みんな一緒に少しだけでもトレーニングすることに決めた。2年前を思い出してすこしずつ。超おりこう犬にならなくてもいいから、みっともない散歩姿って笑われなければいいんだって。どっちかっていうとパパのトレーニングなんだけれどね。

 もちろんわたしもデモを見せる。集中力ってどういうことか、パパとDennyに見せてあげないと。ときどきDennyのごほうびを横取りするのは大目に見て。

散歩をして朝ごはんを食べて
朝日を浴びながら一緒に寝る。
実はママも一緒に寝なおしたいらしい。

11/17/2010

Up-and-coming Boy

 ぼくは最近少々偉そうだと家族に言われるDenny。

 以前なら散歩の後、食事の後、ちょっとBettyと遊んだ後、数時間ぐっすり寝ていたけれど、今はどうも力が余って余ってすぐ動きたくなる。

大体寝ているときも
こんな感じで態度がでっかい。
でも一緒がいいんだ。どうしても。

 出会い以来圧倒的に優位を占めていたBettyも、この体格の差には引き気味だ。スピードと反射神経ははるかに上回るものの、ぼくの体高と重量にはかなわない。前足をかけて押さえつける技で、Bettyの動きを封じることができるようになっちゃったからね。

 だからこのところバトルも長続きしない。いいかげんにかわされて、ぼくは孤独だ。

 じゃあ、どうしているかって?
 ママとバトルをしてもそれほど面白くはないんだけれど、ボール遊びならあの人も結構うまいんだ。そこで仕事をしているママの足元にボールを次々に運んで、投げてもらうよう催促する。

集中しているとママは気がつかない。
だからボールがたまっていく。
そこで「わん」と声をかける。


床になげると下のお家にご迷惑なので
ソファの上かクッションの上。
果てしなく繰り返される。

 散歩の時も、このご近所なら余裕が出てきたよ。ママが強そうな兄貴たちには近づけないので、この世に敵対する犬はほとんどいない気がする。
 お姉さま方はママがあきれるほど寛容だ。ぼくを遠くから待ってくれていたり、一緒に歩いてくれる美女もいるよ。密かにぼくが飛びついたりしないようママが死に物狂いで押さえているので、ますます株が上がっているのかも。

 Bettyに言わせると、ママはぼくを勘違いさせたままにして、おぼっちゃま製造計画を進めている。黒ラブのワク王子様が目標なんだって。すくすく育って優雅な感じがいいんだって。無駄な喧嘩をしているところをみたことがないらしい。

 今はぼくは必要以上に女子に迫ったりする気はないんだけれど、お散歩中にどうも時々片足を上げたくなる。パパは妙に喜んだけれどね。
 ところが、残念な顔をしたママは少し予定を早めて、ぼくを動物病院に連れていって手術の相談をした。ずっとこどものままでよかったのにって悲しそうだ。

 はい、11月末に決定。みんなに触ってもらったけれど、やっぱり片方どこにあるか見つからないので、開腹手術とやらをするんだって。

 この病院は女子の避妊手術はバスタオルでパジャマを作ってくれるんだけれど、男子は構造上不可能なのでエリザベスカラーだって。なにそれ?ぼく王子様のつもりだったけれど、女王陛下になるの??

 事前の血液検査の結果を待つ間、ママはちょっと暗かった。何度も何度も血液検査をしたCookieのことを思い出していたんだ。毎回何かに祈りながらその結果を待ったんだよね。

 どこのお母さんも、家族のために一生懸命祈るんだろうね。ママもこれからもずっと。

11/14/2010

Some Day my Prince will Come

 わたしはいつか王子様が来てくれると信じているBetty。

 わたしの町にはさまざまな犬がいっぱい。もちろん大型犬の男子も多いけれど、みんなCookieの元ボーイフレンド。いつまでたってもわたしは妹のBettyなの。
 やっと来た男子が弟分のうすのろDennyじゃ、かったるくって。

わたし、現在2歳、体重21kg。
尻尾も短いけれど、ジャンプ力は一流。

 そんなある日、さつきドッグランにお試しをしに素敵な黒ラブ男子がやってきたんだって。


 ラガー1歳半。飼い主さんはテンションが高すぎるって心配していたけれど、いざドッグランでじっくりお試ししてみたら、きちんと訓練されたとてもおとなしい男子だとか。
すごく控えめなラガー。
初めてリードをはずして
びっくりの飼い主さん

 まさにFT系のナイスガイ!体重はわたしと同じくらい。体はもっと筋肉質かな?お顔もDennyみたいにおじさんくさくないらしい。わたしと同じベビーフェイスですって。ママはすっかりファンになっている。

 事前にお話を聞いて、すごくやんちゃな犬かと思ったママは、わたしたちを置いていった。お試しの時は自分の犬にまで目が行き届かないからね。

 だからラガーが子犬の時以来初めて自由に遊んだ相手は、偶然やってきたゴールデンの同級生メイなのよね。ラフ・コリーのリタコゲ姉妹もすっかりなじんじゃったらしいし。なんてこと!出遅れてしまったわ。


いきなりツーショットってずるくない?
メイちゃん、みつめすぎ!

 家族のまだ幼いこどもたちとも、ちゃんと付き合っているこころやさしいラガー。時々はわたしたちとやんちゃに遊びましょうよ。わたしたちは同じ2008年生まれ。若くて陽気な一番いい年代だもの。

 うれしいことに、早速会員申し込みをしてくれたそうなので、いつ会ってもいいように、わたしもキメておかないと。

 でも、このご近所には最近べたべたする草か木があるみたい。わたしたちは散歩の度になんだか薄汚くなっちゃう。今朝もシャンプーしたばかりなのに、カピカピ。
 こんなときは蒸しタオルでしばらく押さえて、ふき取るといいみたい。熱すぎるのはいやだから、よく気をつけてよね、ママ。

11/12/2010

One Day Trip

 わたしはBetty&DennyのいとこのM.ダックスのLin。わたしも手作りごはんに代えてもらって、毎日いっぱい食べています。

 ここ信州は紅葉が鮮やか。朝晩の冷え込みはなかなかのもの。昨日、まだ陽射しが暖かい平日の朝に、埼玉からいとこが2匹長い、長いドライブをしておじいちゃんの家にやってきた。

 巨大ドッグバッグに収納されて一度も下ろされずに、250kmを3時間半かかってたどり着いたんですって。
 いつもと違う乗り方なので、緊張してなぜかおとなしい2匹。中で十分動ける広さなので、もう一気に行っちゃいましょうというB&Dパパらしいドライブねえ。下手に声をかけると騒いじゃうから、サービスエリアでもバックミラーで様子を見るだけだったんだって。

 家に着くなり、例の巨大トイレをお風呂の脱衣所に設置して「よそのお家でのトイレの練習」。
 できました!あのがんこなBettyも「ごはんを食べよう!」という誘惑で、がんばって済ませました。いやがってずいぶん粘ったけれど、B&Dママも粘ったのね。

 実はブログを読んでいるLinママから、「Dennyははしゃぐともらすかも」っていう情報を受けて、警戒態勢がひかれていたの。
 成功と聞いておばあちゃんもほっと一安心で、おいしいりんごをサービス。
 「前から思っていたんだけれど、ベティもデニーも言いにくいから改名したら?」って、いまさら何を?


日本の田舎は、障子にたたみに掘りコタツ。
そして巨大なお仏壇。
もちろん誰もいたずらなんかしません。

 わたしもLinママと駆けつけて一族のご対面となった。Bettyとは1年半ぶり。Cookieの病気発覚以来、負担をかけないためここには帰ってこれなかったんだもの。最後の春は1匹ずつクレートに入って来たね。わたしもいっしょにおやつをもらったよね。

野沢菜にはまだまだ早いのですが、
みんなでお茶をいただきます。
彼らはよだれを出しながらも
口も手も出さない。
危ないのは尻尾!

 ものすごく臆病なわたしはママの腕の中。でもものすごく食いしん坊なので、年の順におやつをもらうとなると一番最初なので、ちょっとうれしいわ。

 思ったよりちゃんとしている姉弟みたい。でもBettyはどこか落ち着かず、うろうろしては何かをチェックしている。Dennyはどっかり座ってぼんやりしている。だんだん眠くなってきた?この日は気疲れすることばかりだったでしょ。


もうなんとか慣れた感じ。
一族に迎えてあげてもいいわよ。
やっぱりわたしも男子には甘いのかしら。

 数年前、手術で片肺を摘出したおじいちゃんは、風邪を引いたりすると大変なので、こどもや孫が風邪気味の時は訪ねられない。人間のみなさん、やっぱりタバコはよろしくありません。
 でも、基本的には元気な日本のおじいちゃんなのよ。

 ちょうどマレットゴルフという長野のシニアに大人気のスポーツの大会に出かけていたんだけれど、B&Dのために早めに帰ってきてくれたってわけ。

とにかく何か食べさせたいおじいちゃん。
だからこの日のB&Dのごはんは少なめ。
これもおじいちゃん孝行。

 「でかいなあ、まだまだ大きくなるぞ!」と、あきれながらものんびりしたゴールデンの気性が気に入ってくれたよう。Dennyはおじいちゃんの横にごろんと寝転んでぼーっとしていた。

 Bettyは最後に帰ってきたおじいちゃんが、侵入者かと思ってずいぶん吠えた。もしもし、1年半前に会ったはずだけれど?
 でもわたしと同じで、お菓子をもらえるならかわいいふりをする。女の子だもの。
 それにしても2匹でずいぶん食べたんじゃない?

 短い時間でさよならになったけれど、予想以上におりこうにしていた2匹にみんなごきげんだった。うわさのバトルもよその家ではしないのね。わたしを追いかけたりしないところも合格。一応年上の女子だし。

 純粋に実家に戻っただけのドライブで、こどもに戻ったママがごろごろ昼寝しただけだけれど、のんびりできてよかったね。さすがに日帰りは疲れるみたいだけれど。

 さて、おじいちゃんがサッシの窓ガラスにいっぱいついた連中の濡れた鼻の跡に気がついたら、「なんなんだ、これは!」って騒ぐだろうなあ。B&Dママの掃除好きはおじいちゃんからの遺伝らしいからね。うちのママもきれい好きよ。Aoaoは?

 来年の春になって、孫たちの受験がみんな終わったら、大集合しようね。盛り上がるわよ!

11/09/2010

Grande? Venti?

 ぼくは遊びに夢中になってトイレを忘れる幼稚園児Denny。じょーってのどかな音がするから、ママが「止めろ!」って叫ぶんだけれど、ここまでくると止まらないんだな。

 Bettyがお昼寝しちゃうと、ぼくはどうにもこうにも暇になる。もうぼくの体力につきあいきれないんだって。でも寝ているBettyを起こしたくはない。

 そこで「投げて、投げて♪」って、ボール遊びをママと始めると、ついついわれを忘れちゃうんだ。
 ママは仕事をしながら、足元に来るボールをドッグベッドやソファに向けて投げてくれる。ピーピー鳴るボールだと、ぼくが自慢げにかみ締めて鳴らすからうるさいらしい。

 さて、我が家には2つも移動用のクレートがあるけれど、Cookieサイズを買ったので、Bettyにはちょっと広すぎて、今のぼくには息苦しい感じの狭さ。

お尻が収まらないで斜めなんだ。
赤ん坊の頃から使ってたから、落ち着くけれどね。
よく見えませんが、Bettyが内蔵されています。
中で立って歩けます。
これはこれで快適です。

 やっぱり遠出の時、ぼくを車に乗せるためには何か必要だ。そこでパパが珍しく楽天市場で買ってくれた。

 どうもパパはネットショッピングが苦手だ。目の前にあるものも「ない~、みつからない~」って言ってママに怒られるタイプの人間なので、カテゴリーを絞って検索していくのが面倒くさいらしい。楽天で価格や口コミを比較するなんて、実際に自分ではしたくないんだって。・・・って、わからないからじゃないの?

 ママはみつけるのも早いけれど、裏をとって調べるのもしつこい。Aoaoの赤ん坊の頃からネットショッピングをしているからね。

 でも、手伝うと人間は成長しないと腹をくくったママが、イライラする気持ちを極力抑えて見守った結果、パパが気が遠くなるような時間をかけて見つけてくれたのが、このドッグバッグ。

となりのリュックに入っています。
バタンバタンと広げて使います。

 「ものすごい優れものが届くから、開封してセットして犬たちを慣らしておいてくれ。」そういって出勤したパパ。

 ものすごくでかいのが来ました。広げてびっくりです。ぼく専用じゃなかったんですか?
 ぼくもBettyもIKEAの動物たちも入ります。Aoaoも入ってみました。余裕です。
 上下にもたわむから、車には押し込めると思うけれど。確かメジャーを持って車に向かったよね。

 やっぱり安全性より、車をきれいに保ちたいだけなんじゃないの?ってママはちょっと冷たい。

11/07/2010

Better Luck More Prosperity

 わたしは福を招こうと一生懸命な人間が不思議なBetty。千年以上もかけていろいろなことを思いつくよね。

 今日は酉の市。一の酉だ。我が家はいつも波除神社で熊手と船の合体した置物を買う。目出鯛もいっしょだ。

玄関にどーんと置くと
ますます「めでたい」感じがする。

 こちらはパパの会社の近くの築地にある神社で、お参りしているのは市場の関係の方が多いようだ。しかし業界は違っても、荒波にもまれる仕事の世界を乗り切っていくために信心するにはぴったりの神社だと、何年か前から毎年訪ねている。

 パパは日曜日なのに仕事だったので、古いお飾りを持っていってお参りをして、新しい熊手船を我が家に持ち帰ってきた。

 折りしも今日は、昨日無くなった英ゴルのハリィ大王の出棺の日だった。ハリィ大王14歳半。春に生まれて秋にお空に上ることになったんだね。

 ご近所の仲間たちとマンションのエントランスの前で、車に乗せられるハリィ大王に最後のごあいさつをさせていただいた。相変わらずDennyは空気が読めない。びょんびょん跳ねて、しめやかにならない。わたしはそっとお顔の匂いを確かめた。

 実は、Dennyのお父さん犬はハリィ大王と同じ犬舎なんだ。Dennyにとっては親戚の大叔父さんみたいな存在だね。少し前に16歳で亡くなったアミ皇太后も同じ出身。

 Dennyを家族にする時、ママはパパやAoaoのおねだりについつい負けたわけではないと主張している。のんびりおっとり美人のとら母さんに、あのハリィ大王と同じ犬舎の血が入っている男の子なら、と決心したんだって。そのくらいご近所では有名な、立派な犬の王様なんだ。

お散歩デビュー前、ハリィ大王に
パピーシッターしてもらったDenny。

 ハリィ大王、わたしはDennyをあなたの一族という名に恥じぬ立派な少年に育てます。筋肉と食欲だけ鍛えすぎかもしれませんが。

 そして我が家のママも、Mrs.ハリィがあなたの症状や気持ちに合わせて次から次と工夫を重ね、最後の最後まで心地よく過ごせるよう努力したことを心に刻みます。いつの日か我が家もまた直面するはず。その時の心のお守りに。

 すばらしい秋晴れの日、酉の市でみんなが開運招福を願って手締めをする今日、おめでたい掛け声と共にお空に上ってください。お空の仲間たちに一番大きな熊手を持っていってくださいね。でも、食べられないから注意して。

 地上も天上も、福がいっぱいになりますように。

11/05/2010

Heavy Impact

 ぼくは強気の年上の女性に甘えるのが好きな少年Denny。

 Bettyに続いていつもより遅い時間に散歩に出た。暗くなってからだと、小中学生の疾走する自転車などの各種乗り物も激減するし、配送や作業用のトラックも少ない。おなじみのやさしい奥様方はもうお散歩していないけれど、いつもと違う先輩犬に会える。

満足しています。
よく遊んでよく食べて、
今日もいい日だった。

 街頭に照らされて遊んでいたのは、ダルメシアンのファンタ姉貴8歳とゴールデンのメイ2歳だ。もうすでにメイはファンタ姉貴の動きについていけず息切れしている。

 ファンタ姉貴は、子犬の時に高速道路のパーキングに取り残されていた。どんな事情があったのか誰も知らない。めりめぐってこの町のすばらしい家族に迎えられたんだ。

 Cookieとは一緒にしつけ教室にも通った同級生で、Bettyもずいぶん遊んでもらった。ファンタに遊んでもらったやんちゃな大型犬はかなり多いはず。本当に8歳なのかって思うほど、元気で陽気で見事な脚力を持っている。

 ダルメシアンは本当に愉快な犬種だ。今は亡きリリーも最晩年までCookieに会う度に遊びをしかけてきたんだって。実は体調があまりよくなかったなんて、そう言われるまでうちのママも気がつかなかったらしい。

 でもね、先輩たちをみているとよくわかるよ。ちょっと具合がぱっとしない時でも、仲間に会うと元気が出るんだ。大好きな人間だってうれしいんだ。ぼくたちは社会的な動物なんだよね。
 
 そういうわけで、ぼくもファンタと遊んでもらった。彼女とラブのあんずだけはぼくも本気で遊んでもいいんだ。安心して胸を借りられるからって、ママも大目にみてくれる。

 彼女は挑発しながら、ぴょんぴょん横飛びして、くるくる回転する。同じことをぼくもやるんだけれど、ママに言わせると砲丸投げの砲丸が肥大して勝手に暴れまわっているみたいで、冗談はやめてくれって感じなんだって。

 ファンタの飼い主さんが、息切れするママに同情してファンタを引きとめてくれたんだけど、ぼくの気はおさまるわけない。ひとりで爆発的に跳ね回ったんだ。まさにABDCシーズン5Heavy Impact状態。(ところで明日からアメリカンダンスアイドルシーズン6の始まりらしいよ。またママとAoaoが叫びだすんだ。)


 満足しています。
よく働いてよく食べて、
今日もいい日だった。
パパも?気が合うねえ。

 ゴールデンのメイはあきれてみている。彼女の飼い主さんは、若い犬はみんなはしゃぐけれど、いずれ落ち着くんだからって、いまや余裕いっぱいだ。
 メイは子犬の頃、確かに突進して寝転がって大いに甘えていたんだって。でも、ぼくみたいに全方向に飛び跳ねてはいなかった気がするって、ママはため息をつく。これは英ゴルのジュディと同じだ。そうだね。彼女はもっと身軽で軽やかだけれど、気持ち的にはぼくは同じことをしている。

 さて、英ゴルってみんなめちゃめちゃ跳ねますか?とら母さんも子供の頃けっこう跳ねていたって、Mrs.ずは言っていたけれど。

11/04/2010

His Weak Point

 わたしは多少の変化には動揺しないBetty。でもママが動揺すると、すごく影響されちゃうんだけれど。

 今日の午後遅く、どこかのフロアにお引越しがあったらしい。運送会社のスタッフが青い養生のシートをエレベーターやエントランスに貼って、トラックが2台横付けされていた。

 わたしは、失礼します!ってあいさつして家具を運んでいくお兄さんを横目で見ながら、ママと散歩に出た。引越しや工事でよくある風景だものね。マンション犬ならごく普通の日常なの。

丸くなって寝るの。
今日はなんだか冷え冷えする。
散歩で体が温まるのは人間も同じ?

 さて、選手交代。何の気なしに二番手のDennyを連れてエレベーターに乗ろうとしたママは、もしや・・・と不安になった。

 気がつくのが遅いね、ママ。

 ドアが開いたとたん、見慣れないものが怖いDennyは腰が抜けてしまった。エレベーターがおかしなシートで武装している!!

 哀れDennyは、ほとんど足で押し込まれるようにしてエレベーターに入ったらしい。中では中腰で尻尾を丸めて恐怖の顔。途中の階でお会いしたお散歩仲間のおじさまに笑われながらも励ましていただいて、その影に隠れるようにして外で飛びだした。ところが、そこには大きなトラックと家具、箱、知らない人間たち。悪夢としか思えない

 駐輪場に駆け込んで引きずり出され、さっきのおじさまの後を追って全力疾走し、おしっこもせずに逃走を続けた。

 引越してきた方がママとDennyの姿を見たら、おかしなマンションに来たのかもってあきれたかもね。
夏はひたすらへそ天で寝ていたけど、
最近は丸くなって寝たりする。
散歩ではママの立ち話にも
つきあえるようになった。
長くて長くて腹が立つよ。

 家から離れてしまえば、お散歩中は余裕いっぱい。シュナウザーのビビお嬢にも横飛びして遊ぼうコールをしたし、ラフコリーのリタコゲ姉妹にも甘えてみたりしたお調子者Denny。

 30分後、家の前にはあのトラックが2台、まだ作業中。視界に入ったとたんにお尻を地面につけて、Dennyは「ぼくは歩けません」体勢に。

 それでもママにお菓子で誘われて、ほとんど目をつぶるようにしてエントランスに飛び込んだ。意外に素直でしょ。

 エレベーターでは、今度はやさしいおばさま方がご一緒してくださって、大丈夫、大丈夫って声をかけてくれた。「まだ7ヶ月なんだものねえ。」だって。いろいろ目撃されていて、君がでっかい弱虫なのは有名だからね。

 なんだか、すごく甘ったれている。大きな赤ちゃんぶっている。

11/01/2010

A Man's Heart

 ぼくは時々いちかばちか要求吠えをしてみるDenny。相手の人間がどんな反応をするか確かめてみるんだ。

 ママは歯をむき出してうなり返す時がある。凶悪な顔だよ、ママ。いいお年の奥様がそんなことするかな。
 パパは「おい、こいつ俺に吠えるぞ!」ってママに言いつける。パパ、ぼくの勝ちって考えていいの?
 Aoaoには絶対試さない。すごく怖いんだもん。女子校で鍛えられているから上下関係に厳しいんだ。ぼくは最下位の男子です。


 お天気のぐずついた週末の朝、ぼくたちは小雨交じりの三郷公園に行ってみた。ほとんど人も犬もいなくて、しーんとしている。どうせシャンプーするから少し足を伸ばしたんだ。

この向こう岸は先日行った水元公園
比較的コンパクトな三郷公園

 もうぼくは怖がらない。パパとだって平気だ。どんどん進んで匂いをチェックしていく。ここは強烈。知らない匂いが充満している。だた急にBettyと離れるのは不安だ。知らない場所ならなおのこと、一緒にいないと落ち着かない。


 Betty、絶対に飛び込まないでね。
今日は寒いよ。

 一方パパは来月のぼくの手術が怖くて仕方がない。かわいそうで、かわいそうでしかたがないんだって。
 もちろん彼は去勢手術の必要性は理解している。将来の病気のリスクや、男性ホルモンによる社会的なトラブルを回避しやすくなることもわかっている。

 そもそもCookieは避妊したのに、なぜかもてすぎだった。ばりばりの男盛りの犬はもちろん、去勢済みの犬たちまでが反応してしまったらしい。
 おかげで娘を守るお父さんはけっこう苦労したんだ。よそのドッグランでは大きな犬には本気でマウントされるし、小さな犬は後ろ足に何匹もしがみついてきた。Cookieをはさんで喧嘩が始まりそうになったことも多い。散歩で知らないおじさんが、興奮する小型犬と一緒に後をずっと追ってきたりもした。これはママも気味悪かったって。

 なのにCookieは決して怒らなかったんだ。「思わせぶり」ってどういうことだろう?いわゆる魔性の女だったんだって。これって父親は困るよね。男子はうれしいけれど。

 ちなみにBettyはさっぱり系。まったくもてない。すごくすごく気楽で、純粋に散歩を楽しめる犬だ。
 
 とにかく、かなわぬ恋に苦しむ男子の大変さを、他の犬の飼い主の何倍も目撃してきたのに、いまさら動揺するパパはおかしいってママが笑う。まあね、男心は繊細だからね。

 実はパパはぼくの停留精巣のことを、病院の先生にどうしても言えなかったんだから。「説明するなんて無理」って逃げて、ドアのそばでそっと見守るだけだった。
 「どうしてこんなことをわたしが説明するの?」って、その気持ちが納得できないママは文句をいっていたけど、やっぱり年の功なのかな。恥ずかしくもなくどんどん相談しているよ。お母さんは強い。「残酷」のまちがいだっていうのはパパの意見。


 何が起こるか知らないから
ぼくは平気。
多少のことは家族がいれば平気。

 車の後ろで2匹で興奮しているうちに、プラスチックの部品が何か取れて転がった。パパ、クレートを使って移動しないとどんどん壊れるよ。ぼくは仕切りのフェンスの隙間から体半分後部シートに出しちゃうし。サイズ的にはありえないんだけど、なぜか出ちゃうんだ。だって、ママのそばがいいんだもの。
 後部座席でぼくたちをなだめるママの肩は泥だらけだ。こういうのは手術しても変わらないんでしょ。