ぼくは、Bettyの弱点をまた見つけたDenny。
Bettyはドライヤーもきらいだけれど、もっと怖いのは団扇なんだ。
ママのお気に入りのこのお店。
ここの団扇も怖いんだって。
団扇をママが持ったとたん、Bettyは存在感を消してケージに向かって密かに走る。まさか、これでママがBettyにお仕置きをしたわけではない。
ママが殺すのは蝿だ。
夏場はごくごくまれに、11階の我が家まで1匹ずつ迷い込んでくる。
別に今時の自然志向というわけではなく、田舎育ちのママには害虫退治にもいくつかこだわりがある。殺虫剤は少々噴霧したところで蝿には効かない。逆に家の中が汚染される気がする。かといって、まともに叩き潰すと汚らしい。
そこで空中で叩き落して、気絶したところを捨てることにしている。団扇はバトミントンのラケットのように使うのにちょうどいいのだ。
昭和時代にはどこの家にも「蝿タタキ」なるものがあったような気がするけれど、長野県だけ?
かくして、蝿が発見されると、ママは団扇を持って蝿の通り道に仁王立ちになる。パターン化されている蝿の動きを追うママの殺気が、Bettyを怯えさせるのだ。
怖いの。ママは本気で殺す気なんだもの。
ぼくはなんだかうれしくて、わくわくした。何が起こるのかなって座り込んで見ているうちに、ママがあっさり仕留めた。老眼が始まっているくせに、動体視力はなかなかだね。
気絶した蝿を包もうとティッシュを取りに行っている間に、ぼくはゆっくり近づいてみる。ちょっと前のカナブン事件を思い出したママは、奇声を発してぼくの動きをけん制した。
やだなあ、蝿なんか食べないよ。たぶん。
ふふっ。
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